深読みやムダ知識、独自の解釈など。ファン以外はどうでもいいコトを好き勝手に放り込みました。

■プロト・ベンツを作ろう!

プロト・ベンツをご存知ですか?
「名探偵ホームズ」の中で主人公・ホームズが乗っている自動車です。

19世紀末、ガソリンを燃料として走る自動車が発明されました。
「最初の」という意味では諸説入り乱れていますが
1886年、ドイツ人カール・ベンツによって世界最初のガソリン・エンジンを載せた3輪自動車が発明されました。
その前年、ガソリン・エンジンのオートバイを発明したゴットリープ・ダイムラーは、
同じく1886年に4輪自動車を発明しています。(最初のドライバーはダイムラーの妻でした)

「名探偵ホームズ」の時代設定はまさしく19世紀末。
当時の最先端を行くマシンにホームズは乗っていたことになるのです。

そのプロト・ベンツを作っちゃおう!というこの企画。
実は私がこの車を作ったのは1996年のこと。今からちょうど8年前です。(う、もうそんなに前なのか。。。)
最初に言っておきますが人は乗れません(^^;
いわゆる「木工」。でもそれだけじゃ終わりません。
この木製プロト・ベンツはなんと!本当に走行するのです!(ちょっと自慢(笑))

当時のことをふり返りつつ、制作工程をまとめました。


▼きっかけは、はじめての同人誌即売会参加

1996年9月。
当時北海道に住んでいた私は、東京・高田馬場で行われる「ホームズonly同人誌即売会」に参加するため
はじめてひとりで上京することになりました。
しかし、「即売会」初体験の私。行ったこともなければ、どうすればいいのかも分からなかったのです。
そこで突拍子もなく「プロトベンツを作って、会場で走らせよう!」と思いつきました(笑)

▼設計、試作、材料調達

まずは設計です。
フィルムコミックとビデオ(当時はDVDなんて無かったので(^^;)を穴があくほどみて
プロト・ベンツの外部構造を頭にたたき込みました。

車体と車輪の大きさバランス。
座席の外形と曲線。
車輪をささえるサスペンション部分の構造。
エンジン始動のための歯車とエンジン部の位置関係。

宮崎駿さんが担当した「6作品」とそれ以外の作品とでは、プロト・ベンツの細部設定が微妙に異なっています。
ヘッドライトやサスペンションの形状、後方についているガソリンタンク(?)の設定などなど。
あげたらキリがないのでやめておきます(笑)
一貫していない設定は、「6作品」で表現されている設定を優先することに。

外部構造がまとまると、それを方眼用紙に書き大体の大きさを決定しました。
寸法確認のため、その方眼用紙をはさみで切り出して紙ベースの立体プロト・ベンツを作成してみることに。
思いついたことは何でもやります(笑)
出来上がった紙製プロトは、想像以上に立派で「こんな紙でもしっかりプロト・ベンツの形にできるんだぁ」と
感動もひとしお!唯一の難点は風が吹くと飛んでいっちゃうことでした(^^;
これで設計はOK。

次は材料の調達。
ホームセンター(ホー○ック)で木材を購入。
さらに弟が持っていたミニ四駆用のモーターをゲットGET。
動力源として単三電池1本も用意して、準備万端!!

▼まずはパーツ作りからはじめよう

設計はOKといいながら、実はまだどうやって動力部を実装するか決めていませんでした。
上京する前日までに仕上がらないのであれば、最悪外側だけでもいいかな・・・という考えもあったり(^^;
とりあえずパーツを作りながら、動力部はおいおい考えましょう(笑)

パーツ大全集(笑)ここでいうパーツは、プロト・ベンツの各部品を大雑把にカテゴリ化したものを指します。
今回は車輪、フロント部、座席、動力部(車体本体)、サスペンションの5つに分けました。

まずはカンタンそうな車輪、フロント部、座席を作るところからはじめましょう♪
(右の画像をクリックすると、拡大してみることができます。)
 

▼パーツ作り(1) 〜車輪〜

プロト・ベンツの車輪を細かく分けると
タイヤ(外枠)、ハブ(ホイールの中心にある部品)、スポーク(針金のような部品) の3つからできています。
(スポークです、スポックじゃないですよ(笑))

タイヤ(外枠)をどうやって木で作るか。
普通であれば曲線切りや窓抜きがカンタンにできる電動糸のこぎりを使うところです。
しかし家にはそんな大層なモノはありません・・・。
ならばどうするか?
彫るんです!削るんです!木の板に円を描きその線に沿ってただひたすらにっ!!
しかも車輪は4つ!(当時は天文学的数字のように思えました・・・)
のこぎり、カッター、彫刻刀。ブリキにタヌキに洗濯機を駆使して作業に取りかかります。(cf. ヤットデタマン)

プロト・ベンツの車輪作業をはじめて数時間、この方法の欠点に気づきました。
時間がかかる!!正円にならない!!(やる前に気づきなさいよ、私)
しかし後には引けません!車輪2つをむりやり弟に押し付け、なんとか4つの輪を作ることに
成功しました。

次に直径5mmの木の棒を1cmほど切り出し、その木片をハブとして使います。
それをタイヤの中心に置き、スポーク代わりの竹ひごをタイヤとハブの間に木工用ボンドで
固定していきます。
この写真はハブが無い状態ですが、ちゃんと車輪の形になっていることがわかるかと思います。

同様に残り3つも行い、ようやく車輪の完成です!

▼パーツ作り(2) 〜フロント部〜

プロト・ベンツのフロント部これは比較的カンタンです♪
フロント部の大きさにあわせてカットした1枚の木の板を用意し、飾り模様の部分をマッチ棒のような細い棒で形作ります。

ライトは次の4つの部品をそれぞれ用意し組み合わせます。同様にもうひとつ作って完成!
・ 上部 : 木片を四角すい(または円すい)状にカット
・ 台座 : 四角い板(紙やすりで縁をなめらかにしておく)
・ 本体 : 長方形の木片(適当な厚さの木片がなかったので、薄めの板3枚を張り合わせています)
・ 光源 : 薄い木の板を丸く切り抜く

最後はハンドルです。
直径4mm、長さ10cm程度の棒を用意します。
これを2cm、1.7cm、4.5cmに切り分け、プロト・ベンツのハンドルのように組み合わせます。
先に作ってあるフロント板中央に木工用ボンドで垂直に固定します。

バラバラだった各部品を組み合わせると、写真のようにフロント部の完成です!

▼パーツ作り(3) 〜座席〜

苦労した座席部分。
アニメに登場する「プロト・ベンツ」の座席は、ひじ掛けから背もたれにかけての曲線が特徴的です。
しかし材料は木材。
あの曲線をどうやって木で表現したらいいのか・・・。迷いました。

大きな木のかたまりを切り出すという方法も考えましたが、現実的ではありません。
(車輪でコリました(笑))
ここだけ別素材で作るというのも、全体のバランスが取れなくなるため採用できません。
(エンジン部以外は、すべて木で・・・というコダワリがあったので)

プロト・ベンツの座席結局、15枚の小さな木の板を角度をつけて張り合わせることで解決。
仕上げにサンドペーパーでこすり全体を滑らかに。

予想以上になめらかな曲線ができ、思わず自分で自分をほめる私!!
(いいんです、こんな時くらいしかほめてあげられません(^^;)
別の方法で座席を作ろうと試行錯誤していた弟も、「よく木でこんなの作ったなぁ」と
感心度50%、呆れ度50%(笑)

作ったパーツの中で一番のできかも?!


さて、一番の目玉・エンジン部はどうやって作ったのか?
車輪と車体をつなぐサスペンションはどうしたのか?
東京での初走行はどうなったのか?

すべては「プロト・ベンツを作ろう!後編」でご紹介します!!
お楽しみに〜♪

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