■だんだん・暖暖










「あっ!」


…と、思った次の瞬間


空が見えた





滅多に雪の降らないロンドン


前日珍しい事に雪が降り、うっすらと地面に積もっている


そんな雪道に慣れない彼女…夏目 …は

その慣れない道を慎重に歩いて来たのだが…




すっと起き上がり、コートについた雪をはらうと

同じ様に慣れない道に悪戦苦闘する道行く人と、目が合いお互い苦笑する




「…はぁ…」

「…お送りしましょうか? さん。」

「ほ…ホームズさん?!」


そんな彼女に声をかけたのは、シャーロック・ホームズ



「…よろしいんですか?」

「えぇ。今から帰る所でしたから。」

「じゃぁ…お言葉に甘えて…。有難う御座います。」

「貴女と私の中です。礼には及びませんよv」

「…」



頬を桃色に染め

ホームズの愛車、プロトベンツに乗る


そんな彼女を見てホームズもうれしそうに微笑む











のアパートに到着


彼女は送ってくれたお礼に家でお茶でもどうかと誘い

ホームズもその誘いを有難く受け入れる





「今お茶を入れますから、炬燵で冷えた体を暖めて待っていて下さい。」

「『コタツ』…?」

「その布団…毛布…?え…と…カバーをかぶったテーブルの事です。
 日本の暖房器具のひとつなんですよ。あ、火鉢に気を付けてくださいね。火傷しますから。」

「ほう…」




異国の文化あふれる夏目兄妹の部屋を見渡し

「コタツ」に足を入れる




なるほど、これは暖かい


カバーを持ち上げた瞬間、ホウっと出てくる暖かい空気

足を入れると意外にも熱過ぎる事なく、心地よい暖かさ



暖炉のように部屋全体を暖める、というものではないが、

その代わり炬燵の外にももう一台火鉢が置いてあり、部屋が温められている



珍しいものに囲まれながら、目を子どもの様に輝かせるホームズ


「お待たせしました。…本当なら日本式に日本茶…
 …をお出ししたかったんですけど、あいにく切らしてしまって…。」

「お気になさらないで下さい、 さん。
 …実に興味深い…海を渡った遠い島国…貴女の故郷の文化がここにあるのですね。」

「…私や兄ががこっちで買ったものもあるので、ところどころ和洋折衷ですけど。
 …そうですね…向こうから持って来た物…兄が作った物…実家とほぼ同じスタイルなんです。」

「ご実家にも『コタツ』が?」

「えぇ、勿論。これは兄と二人用なので小さいですけど。
 実家のは家族用のもう少し大きい炬燵ですけど。」


日本式暖房器具・炬燵で、英国式飲み物・紅茶をすすり談笑する

大和撫子 夏目 と英国紳士 シャーロック・ホームズ



「馴染のあるソファーや暖炉も良いですけど、これはこれでなかなか良いものですね。」

「でしょう?ホームズさんのお部屋にも置いてはいかがです?」

「…そうですね…。金之助君に言えば作って貰えますでしょうか?
 …僕と さん専用の『コタツ』、是非我が部屋にも一つ置きたいものですねぇ。」

「ほ…ホームズさん?!」







自分の国の文化を、愛しい相手に受け入れられ

嬉しそうに微笑み、そして勿論冗談で炬燵を勧めてみたが

真顔で返答…しかも優しい笑みで見つめられ、

の頬はピンクに紅潮する




そんな彼女の反応を狙ってのホームズの切り返し

勿論彼女を思う気持ちに嘘偽り冗談は微塵もない








そして、更に部屋の温度が上昇した事は言うまでもない…










キリ番get記念として波間ふぐのすけさんからいただいた夢小説(ドリーム小説)です。
最初の名前入力で自分の名前を入れておくと、なんと「キャラ×自分」のやりとりを楽しめる夢小説。
「二人でぬくぬく♪」というリクエストをさせていただいたのですが、小説どおり部屋の温度が上昇!!
小説内に自分の名前があって、しかもホームズさんとコタツでぬくぬくだなんて・・・なぜか照れくさくなる管理人でした(笑)

冒頭、雪道で転んだシーン。
ぱっと頭の中に浮かんだイメージ(=手を差し出しすホームズ)を背景画として設定してみました。
絵を描き始めてから、”立ち上がってからホームズに声をかけられる”ということに気づきました(^^; スミマセン。。。

ステキな小説、ありがとうございました!

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